旅の途中にちょっと一息つける峠の茶屋のようなWEBマガジン

DRIVE & LOVE

 外は寒いが、そんな時期こそ目を奪われる絶景に出合えるのも海に囲まれた淡路島ならではのお楽しみ。
 お花畑は仕事疲れのオトーサンの心をも溶かし、露天風呂は家事で腫れ上がったオカーサンの肩と腰をほぐす。
 淡路のお花畑と温泉こそ、現代人の「明日に架ける橋」である。

 垂水ジャンクションから長いトンネルを抜けて明石海峡大橋に入る瞬間。
 一瞬にして視界がパアッと広がるあの開放感は、ハッキリ言って何度も橋を渡っているオッサンでもさすがに「やった〜!」と歓声を上げてしまいます。
 けど今回はあの橋ぐらいで驚いてはいけない。今回訪れる2つの場所から明石海峡を見たらそれ以上の歓声が上がることは間違いない。
 しかも短時間で楽しめるというすこぶるお得なコースでもある。

 橋を渡ればほどなく「淡路IC」で、そこで下りる。
 するとすぐに「あわじ花さじき」への標識が現れるから、後はゆるやかな上りを10分ほど道なりに走るとお目当ての場所はすぐである。
 小高い丘の上にある「あわじ花さじき」の名前を聞いたことがある人は多いだろうが、眺めが良すぎて驚くことだろう。特に東と西、そして北には遮るものがない。
「播磨灘」「明石海峡」「大阪湾」のカタチが手に取るように分かるし、手前に目をやると、緩やかな丘を這うように四季を通じて花が咲いている。この時期なら薄いピンクと濃いピンクのグラデーションが美しいストックの花(写真)が目を楽しませてくれるが、その時期が終わればいよいよ淡路島・春の主役である菜の花の黄色が登場するのだ。

「甲子園球場4つ分の広さのお花畑」とはちょっと気が遠くなるスケールだが、クルマから出る時にしっかり厚着して心ゆくまでこの「ファンタジーなお花畑」+「播磨灘・明石海峡・大阪湾スペクタクル」が見事に調和した風景を自分の目で、足で味わってほしいものだ。
 筆者も軽く10回は行っているが、いつ行っても「新鮮」だと感じられる理由は、ひと月すれば花の「主役」が変わっていくために、「同じ光景」を見ることがないからだと思う。
 ましてや天気や風向き、出向いた時間帯でも印象は大きく変わる。こんな大スケールなのに都心から手近なお花畑なんて、ちょっとないのではないか。
 寒くなったら案内所や休憩所に駆け込んで暖を取るべし。直売所で玉ネギをはじめ淡路の野菜も買える。皆さん目が輝いています。

 西側に目を向けると、スペイン風の瓦屋根の美しい建物が見えるが、これが何と「兵庫県立淡路景観園芸学校」の校舎。そしてキャンパス内にはカフェテリア[風の詩]があり、「あわじ花さじき」からクルマなら5分程度でたどり着く。
 キャンパス内の庭園「アルファガーデン」の景色を見ながらハーブティーでしっかりあったまってください。ケーキもいろいろあります。

 さて、そろそろ日も暮れてくるし帰ろうか……という時に、いま来た道を淡路IC方面に戻ってもいいが、西に下って「サンセットドライブ」の最後の方だけいただいて、[のじまスコーラ]のカフェで和むという手もある。
 そして本日のハイライトその2。
 もう一つの明石海峡に出合えるのが絶景温泉「松帆の郷」である。
 ここの露天風呂からの景色は「目前に明石海峡大橋の大パノラマ」として有名だが、それだけで満足して帰ってはいけない。露天風呂に入ったら、出来るだけ長居して海を行き来する船を観るべし。

 というのも、司馬遼太郎が江戸時代の海運王・高田屋嘉兵衛の生涯を描いた大作『菜の花の沖』に登場する、嘉兵衛が初めて瓦船で播磨灘から明石海峡に入った感激そのまんまの風景がこの下に展開されているからである。

 嘉兵衛は船上から、こちらは明石海峡大橋を走るクルマより高い丘から眺めているが、船の名称と構造が今と少し違うだけで、それ以外はまるで変わらない。
 そんな華やか極まる「明石海峡・冬景色」を堪能しているうちに手のひらがシワシワになってくるので、水風呂に入ったりサウナを使ったりして(ここのサウナはテレビ付きで、スポーツ中継は見知らぬ人と盛り上がる。女湯は何を放映してるか知りません)できるだけ長い間楽しみたいものである。
 西から夕暮れが訪れ、橋がライトアップされる時間帯は混んでもいるが、混雑を差し引いてもおつりが来る光景である。

 風呂から上がり、和室の畳でごろんと横になりゆっくり休憩した後は、物産コーナーやレストランを覗くもよし。
 淡路島に後ろ髪引かれている人は、アクセル踏んで5分程度の岩屋商店街にある寿司屋や食堂に寄るもよし、魚屋さんで買い出しクッキング(見てね)という手もある。
 そうやってアレコレ考えてはいても、絶景とバラエティ豊かなお湯になかなか相手(女性の場合が多いが)がお風呂から上がってこないことが多い。
 イライラしても仕方ありません。昔からこの地は「待ち人」がたたずむ場所だったのですから。
 藤原定家もそれを嘆いて百人一首でもおなじみのあの歌を詠んでいるわけだし、ここは先人に倣ってひたすら待ちましょう、いや本当に。

あわじ花さじき
「天空の花園」「歓びの庭」など様々な区画がある。どこから回るかは、駐車場近くにある展望デッキから全体を眺めて考えるべし。夕日の名所でもある。
●淡路市楠本2865-4 TEL:0799-74-6426 9:00〜17:00 年末年始休
兵庫県立淡路景観園芸学校
景観園芸の大学院教育、市民向け生涯教育、そして園芸療法の専門家を育成するという学校。カフェテリアのある「アルファガーデン」は誰でも散策自由だ。
●淡路市野島常盤954-2 TEL:0799-82-3131(カフェテリアは82-3197)
カフェテリア11:00〜16:00 年末年始休
美湯 松帆の郷
単純弱ラドン温泉で神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性に効能あり。多彩な種類の海鮮丼や寿司、牛丼や鍋焼きうどんが人気のレストラン[望海楼]も人気だ。
●淡路市岩屋3570-77 TEL:0799-73-2333 入浴料一般700円、子供400円、65歳以上500円

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ドラブっくchaya

2012年 第7号
冬こそホットな淡路島!

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