連載コラム きれいなドライブ vol.5 流れをつくる安定感

助手席に座っていて、疲れるドライバーと疲れないドライバーがいる。同じコース、同じ時間帯でも個人差があるように思う。

疲れないドライバーの共通点を考えると、「安定」という言葉が浮かんでくる。乗っていて変化が少ないのだ。スピードもあまり変わらないし、カーブでの加重も少なく感じる。

それは運転の技術なのだろうか。いや、そうではないと思う。初心者でも「安定」を感じられる人は多いし、駐車場での止め方が上手なのに乗っている時には「不安定」を感じる人も結構いるのだ。

頭を使い、余計な動きをしない。運転には、「少し考えれば、そういう動きはしないだろう」という場面が少なくない。

例えば、高速道路でのスピードの安定感を考えてみる。なるべくスピードを一定にすることを考える。最適な車間距離を保って、ブレーキを踏む回数を減らす。流れを感じて、その車間距離の中で少しずつスピードに変化をつくっていく。その先の変化に対して余裕をもって対応できる距離を知っている。突発的なことに遭遇しても対応できる余裕を持っている。高速道路だけでなく、信号のある交差点でも急ブレーキをかけないような先を読んだ動き方をする。

必要以上に車間距離を縮めるドライバーがいる。結局ブレーキを何度も踏むので、助手席に座っていて疲れてしまう。「不安定」だ。前を走るクルマがおかしな動きをしたら、すぐに怒りをあらわにする。そういう人は、ハンドルも必要以上に切ってしまう。普通にカーブを曲がる時も、カーブに勝負を挑んでいるようで、なぜかスムーズではない。一方、「安定」しているドライバーはカーブをカーブだと感じないような曲がり方を心がけているように思える。

車線変更の回数も気になる。「安定」している人はむやみに車線変更をしない。全体の流れを感じながら、そしてその先の状況を予測しながら、長くいるべき車線を選んでいる。

高速道路の渋滞が始まると、急に追い越し車線に行きたがるドライバーがいる。走行車線より空いているような気になるからだ。ただ、これは少数ではない。そのせいで、追い越し車線にクルマが集まり、かえって混んでしまう。そして、それに気づいてまた戻って来る。その行ったり来たりが渋滞を悪化させている気がする。

きれいな流れをつくる。安定した流れをつくる。一人一人がその流れの参加者だ。自分の動きが流れに馴染むこと。それは、心の安定から生まれるように思う。そのために頭を使う習慣を持ちたい。

profile
西村ヤスロウ

1962年生まれ。広告会社プランナー

著書:
「しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか」
「Are You Yellow Monkey?」
「美人のもと」

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