快適ドライブのためのなるほどコラム

ドライブを快適に、安全に楽しんでいただくためのお役立ち情報コーナー。
毎号、各方面からのプロフェッショナルからのなるほど!な情報をお届けします。

第3回 谷本先生の特別講座「長距離ドライブでの眠気・疲れ対策:頭も体もスッキリ快適で安全運転を!」

高速道路の事故は1日当たり約30件!

高速道路での事故件数

高速道路の長距離ドライブは、長時間の運転疲れで眠くなることがよくありますよね。また、疲労から判断力が鈍ることも多くあります。どちらも事故につながりかねない危険な状態です。

高速道路での事故は2013年では1年間で11,520件(警察庁交通局)、1日当たり約30件も起きていることになります。そのうち、眠気や疲れと関係するものが相当数を占めていると推察されます。高速道路での運転で、眠気や疲れのためにヒヤリとした経験のある方も多いのではないでしょうか?

想いやりの心で交通事故ゼロを目指そう!

高速道路での事故は、ときにあなたの命だけでなく、あなたの愛する人、また誰かの愛する人の命をも奪ってしまう恐ろしいこと。運転において何より大切なことは、やはり安全第一です。
“ドライブ”の文字の中には周りと自分を想いやる“ラブ”があります。想いやりの心で交通事故ゼロを目指しましょう。

眠気・疲れ対策1 脚を動かして、アタマをシャキッと。

座ってじっとしていると脚に血がたまる

イメージ写真

運転中は座った姿勢をしていますので、脚は心臓よりもずっと下にあります。そしてオートマ車の場合は、その脚を大きく動かすことはあまりありません。

そのような状態が長時間続くと、血液が下にある脚に溜まって心臓への戻りが悪くなり血圧が下がることがあります。血圧の低下によって脳への血流が低下すると、脳貧血の状態になります。

頭がぽやーんとしてくるのです。眠くなりやすくもなります。朝礼の長すぎる校長先生の話で(きっと良いお話だと思いますが)、ふらっと座り込んでしまう状況と似ているというとわかりやすいでしょうか。

また、座席にお尻から太ももの裏側が圧迫されることも血液の戻りを悪くさせます。血液は流れが滞ると血栓を生じやすくなりますが、この血栓がどこかで詰まると問題を起こします。

いわゆるエコノミークラス症候群といわれる病態です。血栓が心臓や脳の血管で詰まると突然死につながることさえあります。

対策は…「脚をよく動かすこと」

脚をよく動かすこと

対策法は簡単。脚をよく動かすことです。脚をリズミカルに動かすことで筋ポンプ作用が働き、脚に溜まった血液を心臓に戻してくれます。
運転中でも、その場での軽い足踏みや、股を開いたり閉じたりといった動きはできます。マメに脚を動かしてあげましょう。もちろん安全運転に支障のない範囲で行ってください。

両足をよく動かすマニュアル車に乗り換えるというウルトラCな対策もアリかもしれません(奥さんがマニュアル車の購入に賛同してくれるかも!:私は断然マニュアル派です)。
同乗している方も同様です。車内でまめに脚を動かしてあげましょう。飛行機のエコノミークラス症候群対策と同じですね。エコノミー(安い席)症候群だけに、貧乏ゆすりも良いかもしれません。

体操イメージ

屈伸や軽くジャンプではずむような運動は、脚の血液を筋ポンプ作用で心臓へ戻す効果的な運動です。頭もスッキリします。

また、休憩のときに脚の屈伸運動や足踏み、軽くジャンプではずむような運動を行うと良いでしょう。長距離トラックの運転手さんが、サービスエリアで屈伸をしている様子をよく見かけますよね。

普段から長時間運転をされているドライバーさんは、感覚的に対策法を知っているのだと思います。なお、屈伸で大きく脚を動かすことには、運転中にあまり動かさずに固まった脚の関節をほぐす効果もあります。
休憩中にしっかり脚を動かして、脚の血液を心臓に戻し、スキッと頭をリフレッシュさせましょう。そして安全運転で行きましょう。

眠気・疲れ対策2 体幹を動かして、腰・首をシャキッと。

猫背の姿勢は腰・首に負担、関節も固まる

猫背の姿勢

運転中は、骨盤が後傾して背中が丸まった猫背の姿勢になりがちです。丸まった腰には強い力学的負荷がかかります。椎間板の内圧でみると、力学シミュレーションでは、座位の前かがみの姿勢は、立位の約2倍にもなるといいます。

また、猫背の姿勢は首が前に出がちですが、大きく首が前に出るほどテコの原理で(作用点が遠くなる)頭をささえる首の負担が増します。ひどい場合には4-5倍にも負荷が増えるとされます。

このように運転中に陥りがちな猫背の姿勢はその姿勢自体が負担となります。また、同じ姿勢をずっと続けていると、背骨まわりの関節の動きが固まり、周辺の筋肉もこわばるという問題も起こります。これらが原因で腰・首に疲労感を覚えるのです。

対策は…「姿勢を正すこと、背骨をよく動かすこと」

姿勢を正す、背骨をよく動かす

対策法は2つ。一つは猫背の姿勢を正すことです。腰を丸めず背すじを伸ばし、顎を引いて頭を前に出さないようにします。・・とは言っても、そんな簡単にできませんし、姿勢を一生懸命正すことでかえって疲れてしまいそうですよね。

そこで、姿勢を矯正する便利なアイテムの利用をお勧めします。腰あてを置くと、腰椎のあたりが押されるので自然と背すじが伸びます。首あてを使うと、頸椎のあたりが押されて自然と首が後ろに反ります。

体操イメージ

ラジオ体操のように体幹を大きく動かす運動は、運転で疲労のたまる腰・首の動きをよくしてほぐす効果的な運動です。

また、腰あて、首あてに触れることで、姿勢をまっすぐに正すことを意識しやすくなります。それほど強く意識しなくても背すじを正そうと思えるのです。
腰あて、首あてどちらもカー用品店で市販されています。それほど高価ではありませんので、ぜひご利用されることをお勧めします。

もう一つの対策法は同じ姿勢で関節が固まらないように、背骨周辺をよく動かすことです。運転中は軽く体幹を左右に曲げたりひねったり、背中を丸めたり反らしたり、といった動きを時々してあげると良いでしょう。もちろん安全運転に支障のない範囲で行います。

また、運転中はあまり大きく動かすことはできませんので、サービスエリアで休憩の際にしっかり大きく体幹を動かしてあげましょう。ラジオ体操の前後屈や、横曲げ、左右ひねりのような動きがお勧めです。

眠気・疲れ対策3 大きくまばたきして、目をシャキッと。

イメージ

運転では目を酷使するため目が相当に疲労します。エアコンによる乾燥で目が乾くことも疲れ目を増長します。
運転中はまばたきが少なくなるので目が乾くといわれることもありますが、まばたきはむしろ増えるという報告もあり、そのあたりはよくわかっていません。どちらにしても目の乾きが疲れ目を増長するのは確実で、それが運転疲れの一原因となっています。

イメージ

眼の疲れ対策としてもっとも確実なのは目薬を使うことでしょう。長距離運転に、目の乾き防止、目への栄養成分補給の目薬は“必須アイテム”ともいえます。手元に一つ用意しておくことをお勧めします。

まばたきを繰り返すことは、目を潤して疲れ目防止の一助けになると思われます。また、遠くをぼんやり見ることは目の調整を行う内眼筋などの緊張緩和に効果的とされます。休憩のときに遠くをぼんやり眺めて目を休ませることも有効となるでしょう。

眠くなったら仮眠をとりましょう

仮眠

当たり前のことですが、眠け、疲れ対策にもっとも効果的な手立ては仮眠をとることでしょう。強い眠気、疲れを感じるときは、無理に「もう1つ先のサービスエリアまで」、などと頑張らずに、直近のサービスエリアに躊躇せずに立ち寄り、休んでください。

到着先で待っている人を待たせないこと、同乗している家族や仲間の乗車時間を減らすこと、などよりも、事故せず無事に到着することのほうがずっと大切です。車は便利な乗り物ですが、複数人の命を簡単に奪い取る相当量の運動エネルギーをもって移動する大変危険な乗り物でもあります。

ドライブにはラブがいる

車の運転において安全に勝る重要事項はありません。「安全第一」です。上記の1〜3の対策法は眠け・疲れに有効な方法ですが、なにより大事なことは無理をせず休むことです。

最後に繰り返しますが、“ドライブ”の文字の中にはラブがいます。自分、同乗者、周りを通行するすべての人へのラブで、無理のない安全運転を心がけてください。

谷本 道哉(たにもと みちや)/
近畿大学生物理工学部 人間工学科准教授 博士(学術)

大阪大学工学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門は筋生理学、身体運動科学。日本オリンピック委員会医科学スタッフ。著書は「スポーツ科学の教科書」(岩波書店)等多数。NHK「おはよう日本」の健康コーナー、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」等でも運動の効果をわかりやすく解説。

谷本 道哉(たにもと みちや)

ドラブっくChaya第16号

第3回 谷本先生の特別講座「長距離ドライブでの眠気・疲れ対策:頭も体もスッキリ快適で安全運転を!」

高速道路の事故は1日当たり約30件!

高速道路の長距離ドライブは、長時間の運転疲れで眠くなることがよくありますよね。また、疲労から判断力が鈍ることも多くあります。どちらも事故につながりかねない危険な状態です。

高速道路での事故は2013年では1年間で11,520件(警察庁交通局)、1日当たり約30件も起きていることになります。そのうち、眠気や疲れと関係するものが相当数を占めていると推察されます。高速道路での運転で、眠気や疲れのためにヒヤリとした経験のある方も多いのではないでしょうか?

高速道路での事故件数

高速道路での事故は、ときにあなたの命だけでなく、あなたの愛する人、また誰かの愛する人の命をも奪ってしまう恐ろしいこと。運転において何より大切なことは、やはり安全第一です。
“ドライブ”の文字の中には周りと自分を想いやる“ラブ”があります。想いやりの心で交通事故ゼロを目指しましょう。

想いやりの心で交通事故ゼロを目指そう!

眠気・疲れ対策1 脚を動かして、アタマをシャキッと。

座ってじっとしていると脚に血がたまる

運転中は座った姿勢をしていますので、脚は心臓よりもずっと下にあります。そしてオートマ車の場合は、その脚を大きく動かすことはあまりありません。

そのような状態が長時間続くと、血液が下にある脚に溜まって心臓への戻りが悪くなり血圧が下がることがあります。血圧の低下によって脳への血流が低下すると、脳貧血の状態になります。

頭がぽやーんとしてくるのです。眠くなりやすくもなります。朝礼の長すぎる校長先生の話で(きっと良いお話だと思いますが)、ふらっと座り込んでしまう状況と似ているというとわかりやすいでしょうか。

また、座席にお尻から太ももの裏側が圧迫されることも血液の戻りを悪くさせます。血液は流れが滞ると血栓を生じやすくなりますが、この血栓がどこかで詰まると問題を起こします。

いわゆるエコノミークラス症候群といわれる病態です。血栓が心臓や脳の血管で詰まると突然死につながることさえあります。

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対策は…「脚をよく動かすこと」

対策法は簡単。脚をよく動かすことです。脚をリズミカルに動かすことで筋ポンプ作用が働き、脚に溜まった血液を心臓に戻してくれます。
運転中でも、その場での軽い足踏みや、股を開いたり閉じたりといった動きはできます。マメに脚を動かしてあげましょう。もちろん安全運転に支障のない範囲で行ってください。

イメージ

また、休憩のときに脚の屈伸運動や足踏み、軽くジャンプではずむような運動を行うと良いでしょう。長距離トラックの運転手さんが、サービスエリアで屈伸をしている様子をよく見かけますよね。

普段から長時間運転をされているドライバーさんは、感覚的に対策法を知っているのだと思います。なお、屈伸で大きく脚を動かすことには、運転中にあまり動かさずに固まった脚の関節をほぐす効果もあります。 休憩中にしっかり脚を動かして、脚の血液を心臓に戻し、スキッと頭をリフレッシュさせましょう。そして安全運転で行きましょう。

体操写真

屈伸や軽くジャンプではずむような運動は、脚の血液を筋ポンプ作用で心臓へ戻す効果的な運動です。頭もスッキリします。

眠気・疲れ対策2 体幹を動かして、腰・首をシャキッと。

猫背の姿勢は腰・首に負担、関節も固まる

運転中は、骨盤が後傾して背中が丸まった猫背の姿勢になりがちです。丸まった腰には強い力学的負荷がかかります。椎間板の内圧でみると、力学シミュレーションでは、座位の前かがみの姿勢は、立位の約2倍にもなるといいます。

また、猫背の姿勢は首が前に出がちですが、大きく首が前に出るほどテコの原理で(作用点が遠くなる)頭をささえる首の負担が増します。ひどい場合には4-5倍にも負荷が増えるとされます。

このように運転中に陥りがちな猫背の姿勢はその姿勢自体が負担となります。また、同じ姿勢をずっと続けていると、背骨まわりの関節の動きが固まり、周辺の筋肉もこわばるという問題も起こります。これらが原因で腰・首に疲労感を覚えるのです。

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対策は…「姿勢を正すこと、背骨をよく動かすこと」

対策法は2つ。一つは猫背の姿勢を正すことです。腰を丸めず背すじを伸ばし、顎を引いて頭を前に出さないようにします。・・とは言っても、そんな簡単にできませんし、姿勢を一生懸命正すことでかえって疲れてしまいそうですよね。

そこで、姿勢を矯正する便利なアイテムの利用をお勧めします。腰あてを置くと、腰椎のあたりが押されるので自然と背すじが伸びます。首あてを使うと、頸椎のあたりが押されて自然と首が後ろに反ります。

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また、腰あて、首あてに触れることで、姿勢をまっすぐに正すことを意識しやすくなります。それほど強く意識しなくても背すじを正そうと思えるのです。 腰あて、首あてどちらもカー用品店で市販されています。それほど高価ではありませんので、ぜひご利用されることをお勧めします。

もう一つの対策法は同じ姿勢で関節が固まらないように、背骨周辺をよく動かすことです。運転中は軽く体幹を左右に曲げたりひねったり、背中を丸めたり反らしたり、といった動きを時々してあげると良いでしょう。もちろん安全運転に支障のない範囲で行います。

また、運転中はあまり大きく動かすことはできませんので、サービスエリアで休憩の際にしっかり大きく体幹を動かしてあげましょう。ラジオ体操の前後屈や、横曲げ、左右ひねりのような動きがお勧めです。

体操写真

ラジオ体操のように体幹を大きく動かす運動は、運転で疲労のたまる腰・首の動きをよくしてほぐす効果的な運動です。

眠気・疲れ対策3 大きくまばたきして、目をシャキッと。

運転では目を酷使するため目が相当に疲労します。エアコンによる乾燥で目が乾くことも疲れ目を増長します。
運転中はまばたきが少なくなるので目が乾くといわれることもありますが、まばたきはむしろ増えるという報告もあり、そのあたりはよくわかっていません。どちらにしても目の乾きが疲れ目を増長するのは確実で、それが運転疲れの一原因となっています。

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眼の疲れ対策としてもっとも確実なのは目薬を使うことでしょう。長距離運転に、目の乾き防止、目への栄養成分補給の目薬は“必須アイテム”ともいえます。手元に一つ用意しておくことをお勧めします。

まばたきを繰り返すことは、目を潤して疲れ目防止の一助けになると思われます。また、遠くをぼんやり見ることは目の調整を行う内眼筋などの緊張緩和に効果的とされます。休憩のときに遠くをぼんやり眺めて目を休ませることも有効となるでしょう。

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眠くなったら仮眠をとりましょう

当たり前のことですが、眠け、疲れ対策にもっとも効果的な手立ては仮眠をとることでしょう。強い眠気、疲れを感じるときは、無理に「もう1つ先のサービスエリアまで」、などと頑張らずに、直近のサービスエリアに躊躇せずに立ち寄り、休んでください。

到着先で待っている人を待たせないこと、同乗している家族や仲間の乗車時間を減らすこと、などよりも、事故せず無事に到着することのほうがずっと大切です。車は便利な乗り物ですが、複数人の命を簡単に奪い取る相当量の運動エネルギーをもって移動する大変危険な乗り物でもあります。

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車の運転において安全に勝る重要事項はありません。「安全第一」です。上記の1~3の対策法は眠け・疲れに有効な方法ですが、なにより大事なことは無理をせず休むことです。

最後に繰り返しますが、“ドライブ”の文字の中にはラブがいます。自分、同乗者、周りを通行するすべての人へのラブで、無理のない安全運転を心がけてください。

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谷本 道哉(たにもと みちや)/ 近畿大学生物理工学部 人間工学科准教授 博士(学術)

谷本 道哉(たにもと みちや)大阪大学工学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門は筋生理学、身体運動科学。日本オリンピック委員会医科学スタッフ。著書は「スポーツ科学の教科書」(岩波書店)等多数。NHK「おはよう日本」の健康コーナー、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」等でも運動の効果をわかりやすく解説。